今年も年末調整の時期がやってまいりました。
2025年は税制改正があったため、派遣で働く皆さんも、年末調整の申告には十分な注意が必要です。
今年は税制改正によって、年末調整で還付金が発生するケースが多いことが予想されます。
申告漏れによって損をする事がないように、2025年の年末調整の変更点を押さえておきましょう。

年末調整とは
年末調整とは、「本来徴収するべき所得税額」の1年間の合計を正しく計算し、「毎月の給与から差し引かれている所得税額」との過不足額を、年末の給与で精算する手続きです。
「毎月の給与から引かれている所得税額」は、概算の税率で計算されているため、年末に実際の年収額や控除額を反映させて、「本来徴収すべき所得税額」を再計算する必要があります。
その結果、所得税を納付しすぎていた場合は還付(返金)され、足りなかった場合は追加で徴収されます。
年末調整の対象となるのは、基本的には派遣会社に「年間を通じて勤務している人」または「年の途中から働き始めて年末まで勤務している人」です。
ただし、派遣社員の場合、本業と副業があったり、二か所以上から給与を受けているケースも多いため、ご自分がどこで年末調整を受けることができるのかは事前に把握しておきましょう。
2025年 年末調整の変更点
2025年の年末調整での変更点は、以下の4つです。
① 基礎控除の見直し
② 給与所得控除の見直し
③ 扶養親族の所得要件の見直し
④ 特定親族特別控除の創設
変更点①・②については、年末調整では特別な手続きは必要ありません。
基礎控除や給与所得控除で差し引くことができる額が多くなれば、課税される所得は低くなり、納めるべき税金の額が少なくなります。
この変更によって、年末調整で還付(返金)される方が多くなる見込みです。
変更点③・④については、ご家族の状況を把握し、自分で派遣会社に申告する必要があります。
ご自分に関係ありそうな変更点はしっかりとチェックしておきましょう。
① 基礎控除の見直し
基礎控除とは、所得税を計算するときに一定額を差し引ける控除の一つです。
2025年の改正により、基礎控除額は合計所得に応じて段階的に引き上げられる仕組みに変更されました。
改正前の控除額は最大48万円でしたが、それが58万円まで引き上げられ、さらに合計所得金額が132万円以下(収入が給与だけの場合の収入:200万3,999円以下)であれば、37万円が上乗せされます。
例えば、収入が給与だけの場合、合計収入が200万3,999円以下であれば、基礎控除は95万円(基礎控除58万円+上乗せ分37万円)となります。
・合計所得⾦額132万円以下:95万円(改正前:48万円)
・合計所得⾦額132万円~336万円:88万円(改正前:48万円)
・合計所得⾦額336万円~489万円:68万円(改正前:48万円)
・合計所得⾦額489万円~655万円:63万円(改正前:48万円)
・合計所得⾦額655万円~2,350万円:58万円(改正前:48万円)
② 給与所得控除の見直し
給与所得控除とは、派遣社員を含む給与所得者の収入から一定の金額を差し引ける控除です。
2025年からは、給与所得控除の最低額が65万円(改正前:55万円)へと引き上げられ、給与収入が190万円までは、一律に65万円の控除を受けることができるようになりました。
③ 扶養親族の所得要件の見直し
基礎控除の見直しに合わせて、扶養控除の対象となる「所得要件」も引き上げられました。
これにより、それまで対象外だったご家族が、新たに扶養控除の対象となる可能性があります。
ご家族の状況を把握し、扶養の要件を満たしている場合は、必ず派遣会社に申告しましょう。
・扶養親族・同一生計配偶者: 58万円以下(改正前:48万円以下)
・ひとり親の⽣計を⼀にする⼦:58万円以下(改正前:48万円以下)
・勤労学⽣:85万円以下(改正前:75万円以下)
④ 特定親族特別控除の創設
2025年分から、新たに「特定親族特別控除」という所得控除制度が導入されました。
以下の要件を満たす扶養親族がいる場合は、必ず派遣会社に申告しましょう。
・年末時点で19歳以上23歳未満の親族(里子も含む)
・合計所得金額が58万円超~123万円以下
・配偶者や事業専従者ではないこと
まとめ
年末調整は、一年間の所得税の過不足を精算する重要な手続きです。
きちんと自己申告ができなければ、正しい還付が受けられず、損をしてしまう可能性があります。
特に扶養控除に関しては、派遣会社がご家族一人一人の収入を把握して、該当者を提案してくれるわけではありません。
申告漏れがおきないよう、2025年の変更点をしっかりとチェックしておきましょう!