派遣社員は、「派遣会社(派遣元企業)」と雇用契約を結び、「派遣先企業」で働きます。
正社員や直接雇用のアルバイトとは異なり、働くにあたって2つの企業がかかわることになります。
そのため、有給休暇の申請や勤務時間の要望など、「どちらに伝えるのだろう?」と戸惑ってしまうことも多いようです。
そこで今回は、派遣で働くにあたって知っておきたい、派遣会社と派遣先企業の違いについてご紹介していきたいと思います。
基本的な考え方
まず基本的な考え方として知っておいていただきたいのは、派遣社員の雇用主は「派遣会社」だということです。
実際に働いている「派遣先企業」とは、雇用関係にありません。
ただし、派遣社員が勤務しているのは、「派遣先企業」なので、業務に関する指示を出すのは「派遣先企業」です。
以上を踏まえたうえで、具体的な事例を見ていきましょう。
給料関係は? ➡ 派遣会社
派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでいるため、給料の管理を行うのは、派遣会社です。
「時給を上げてほしい」といった要望から、「給料の振込口座を変更したい」といった事務手続きまで、すべて派遣会社に申し出る必要があります。
労働時間は? ➡ 派遣先企業
派遣社員の労働時間(残業・休憩時間・遅刻・早退など)や休日の管理を行うのは、派遣先企業です。
就業時間や時間外労働の報告などは派遣先企業に行いましょう。
例えば、遅刻や早退の申請や、「休憩時間をずらしたい」といった要望は、派遣先企業の担当者に伝えます。
ただし、派遣会社のルールによっては、遅刻や早退などは派遣会社にも報告が必要な場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
また、「毎日、始業時間を8時から9時にずらしたい」といった、そもそもの契約内容を変更したい場合は、派遣先企業ではなく、派遣会社に申し出る必要があります。
有給休暇は? ➡ 派遣会社
派遣社員の雇用主は派遣会社なので、有給休暇の管理を行うのも派遣会社です。
有給休暇の申請は派遣会社に行い、有給休暇の残日数や制度に関する疑問なども、派遣会社に問い合わせましょう。
ただし、先ほどご紹介した通り、労働時間の管理は派遣先企業になるため、有給か欠勤かは関係なく、「〇月〇日に休みたい」という報告は、派遣先企業にも必要です。
産休・労災・健康診断は? ➡ 派遣会社
産前産後休業・労災補償・健康診断の実施を管理するのも、すべて派遣会社です。
出産の予定がある方、通勤途中や業務中にケガや病気になった方、健康診断への疑問や要望などは、派遣会社に伝えましょう。
ただし、就業時間中に健康診断を受けるなど、労働時間に関係する事柄は、派遣先企業にも報告が必要な場合があります。
まとめ
派遣会社と派遣先企業で、それぞれ管理している分野が違います。報告や相談は、その内容によって、適切な方に申し出ましょう。
ただし、「どちらに相談していいか分からない」「どちらに報告するか微妙」と思った場合は、まず派遣会社に一報を入れることをおすすめします。
雇用主である派遣会社が管理する分野の方が多く、時給の交渉などの派遣先企業にするのは絶対NGな案件もあるためです。
また、派遣先企業に直接言いにくいことを、派遣会社が間接的に伝えてくれるケースもあります。
慣れないうちは迷うことも多いかもしれませんが、分からないことはまず派遣会社に確認してみましょう。