派遣で働いていると、上司や取引先の方と会話をしたり、メールのやり取りをする機会があります。
そんなときは、誰もが社会人として恥ずかしくない言葉使いを心がけていると思います。
言葉遣いは、人の印象を左右すると言っても過言ではありません。
正しい敬語が使えていると、初めて話す人や目上の人にも好印象を持ってもらいやすくなります。
そんな敬語の中でも、特に使い方に注意したいのが、「させていただく」という言葉です。
「させていただく」は耳にする機会が多い言葉ですが、知らないうちに誤った使い方をしている場合があります。
最近では、何にでも「させていただく」を付けることで、丁寧な言い回しになっていると誤解しているケースも多いようです。
そこで今回は、「させていただく」という言葉の意味や正しい使い方、注意点についてご紹介します。
「させていただく」とは？
「させていただく」とは、何らかの行為や動作を、相手の許しのもとに行うことです。
いわゆる謙譲表現であり、基本的に上司や取引先など目上の相手に対しても、問題なく敬語として使うことがきでます。
しかし、「させていただく」は何にでも使える万能な言葉というわけではありません。
状況によっては、「させていただく」を使用することがあまり適切ではない場面もありますので、注意しましょう。
「させていただく」が使える条件
「させていただく」の使用が適切かどうか確認するポイントは、２つあります。
基本的には、この２つの条件を両方満たす場合、「させていただく」が適切な表現となります。
なお、これから紹介する２つのポインを満たしていない場合でも、「させていただく」の使用が受け入れられることもあります。
厳密な判断基準はありませんので、使用の許容範囲を判断する材料として覚えておきましょう。
ポイント① 相手の許可を得る
一つ目の条件は、その「させていただく」行為が、相手側もしくは第三者に「許可を得て行うものかどうか」です。
ポイント② 自分が恩恵を受ける
もう一つの条件は、それを「させていただく」ことによって、自分が「恩恵を受けるかどうか」です。
「させていただく」の具体例
では、「させていただく」の適切な使い方と、間違った使い方の例をいくつかご紹介します。
日程を変更させていただく
相手に日程の変更を提案している場合、日程の変更について、相手の「許可」が必要であり、それによって自分が参加できるなどの「恩恵」があるため、正しい使い方と言えるでしょう。
コピーさせていただく
他人の書類などをコピーしたい場合、相手の「許可」が必要で、コピーすることによって自分が欲しい情報が手に入るなどの「恩恵」を受けるため、これも正しい使い方と言えるでしょう。
休業させていただく
休業することで自分に恩恵はありますが、必ずしも誰かの「許可」が必要とは限りません。
「許可」を求める目的ではなく、休業事実の説明であれば、「休業いたします」で問題ありません。
卒業させていただきました
学校の卒業には、単位の取得などの一定のルールがありますが、それは誰かにお願いして「許可」してもらうという性質のものではありません。
挨拶や自己紹介などで自分の経歴を説明するときは、「卒業いたしました」が適切です。
「させていただく」を使う際の注意点
「させていただく」を使う際は、「二重敬語」や「さ入れ言葉」に注意しましょう。
例えば、「拝見させていただく」は、「拝見」という謙譲語に、さらに謙譲語の「させていただく」を付けているので、二重敬語となり、正しい表現ではありません。
「さ入れ言葉」は、余計な「さ」を加えてしまうことで、例えば、「やらさせていただきます」や「置かさせていただきます」などの間違った言葉のことです。
こうした表現は文法的にも誤りとなるため、特に注意する必要があります。
一方で、「させていただく」は、文法的には間違っていなくても、使い方によっては不適切な表現となってしまうこともあります。
一番気を付けておきたいのは、とにかく「乱用を避けること」です。
例えば、「確認させていただき、ご連絡させていただきます」など、一つの文書に何度も使うと、読みにくく、くどい印象を与えてしまいます。
何度も「させていただく」を使うことは避け、「いたします」などのシンプルな言葉に言い換えることを心がけましょう。
まとめ
「させていただく」を使用する際は、「許可」と「恩恵」の２つの条件を満たしているか確認しましょう。
せっかく丁寧な言葉を心がけたのに、「正しい敬語が使えてない」と思われてしまわないよう、気を付けて「させていただく」を使っていきましょう。
