派遣は、派遣社員・派遣会社・派遣先企業の三者で成り立つ働き方です。
正社員やアルバイトとは働き方のしくみが異なるため、困り事や相談事があったときに、「誰に相談すればいいのだろう?」と迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。
もしかすると、仕事上のことは「実際に働いている職場で相談する方が解決しやすい」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、派遣社員の場合は、よく分からないままに何でも派遣先企業に相談してしまうと、思わぬトラブルに発展してしまう可能性があります。
そこで今回は、「派遣先企業に相談してはいけないこと」をご紹介していきたいと思います。
困り事や相談事があったとき、どこに相談したらいいかわからず悩みを抱えてしまわないように、相談先をあらかじめ知っておきましょう。
派遣先に相談してはいけないこととは?
まずおさらいしておきたいのは、派遣の基本的な仕組みです。
派遣社員は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業(派遣会社が派遣契約を結んでいる会社)に派遣されて働きます。
派遣社員が実際に働く職場は「派遣先企業」で、具体的な業務の指示は派遣先企業の担当者から受けることになりますが、派遣社員が雇用契約を結ぶのは「派遣会社」です。
派遣会社は、派遣社員と派遣先企業とをつなぐ役割を担うとともに、雇用契約を結ぶ雇用主として、給与の支払いや各種保険の加入手続きなども行います。
派遣社員は、実際に働く職場と雇用主が異なるため、仕事上の相談をどこにしていいのか迷ってしまうケースがあります。
どこの派遣先企業で働いていても、派遣社員の雇用主はあくまでも派遣会社なので、相談内容によっては、直接派遣先企業に持ち掛けない方がいい場合も多くあります。
いくつか具体的な例をご紹介していきますので参考にしてください。
勤務時間・待遇・業務内容等の相談
派遣先での勤務条件についての疑問は、まず派遣会社の担当者に相談しましょう。
派遣先企業は、派遣社員本人とではなく派遣会社と契約をしています。
つまり、雇用契約書に記載されている事項(勤務時間・待遇・業務内容等)に関しては、全て派遣会社が派遣先企業と交渉を行うべきことです。
例えば、勤務時間や勤務場所を変更したいときや、残業時間を増やしたい・減らしたいなどの相談、時給を上げてもらう交渉なども派遣会社を通しましょう。
業務内容についても、最初の説明と異なっていたり、許容範囲以上のもの任されそうになった場合は、直接断る前に派遣会社に相談することをおすすめします。
健康面や環境の変化に関する相談
自分の健康面や育児・介護など環境の変化により、仕事に影響が出てしまいそうなときも、まずは派遣会社に相談しましょう。
長期の休みや業務内容等の変更が必要になる場合は、派遣会社が派遣先企業に調整を働きかけてくれます。
もし交渉がうまくいかず、今の派遣先での勤務が難しくなった場合は、派遣会社から別の派遣先でのお仕事を案内してもらえる可能性もあります。
派遣契約の更新・退職
派遣社員の契約は、3ヶ月単位など一定の期間ごとに更新されます。
派遣先企業が契約の更新を希望した場合、派遣会社を通じて派遣社員に更新の意思確認が行われます。
「派遣社員の雇用主は派遣会社」という派遣の仕組みからすれば当然のことですが、派遣社員本人が契約更新のことについて直接派遣先企業と交渉するのはルール違反です。
例えば、次回の契約更新の有無を直接派遣先企業に確認したり、自分が次の契約更新をする意思があるかどうかを直接派遣先に企業に伝えることは控えましょう。
もちろん、今の派遣先を退職する場合も、直接派遣会社に申し出ずに、必ず派遣会社を通しましょう。
まとめ
派遣先でのトラブル、悩み事、相談事、疑問などが発生した場合は、まずは派遣会社に相談しましょう。
もしも、派遣会社に相談しても解決しない場合は、公共機関によって運営されている相談窓口を活用する手もあります。
心身ともに健康に働き続けるためにも、悩み事はひとりで抱え込まずに、早めに相談しましょう。