普段から派遣で働いている学生の方、夏季休暇などの長期休暇を利用して派遣で働いた方など、派遣で働く学生の皆さんは、「税金」について、どれほど意識していますか?
「全く考えたことがない」という方もいれば、「そんな細かいことは気にしない!」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、税金のことを全く意識せずに働いていると、思っている以上に損をしてしまう場合があります。
どうしても、「がんばって働いた分だけ、お金が増える」と簡単に考えてしまいがちですが、実際はそう単純ではありません。
例えば、本来払わなくていい税金を払っていたり、ご両親に迷惑をかけてしまうことも考えられます。
そこで今回は、そんな税金の中でも特に注意しておきたい「所得税」についてご紹介していきたいと思います。
学生のうちから、基本的な税金の知識を身に着けて、賢く働いていきましょう!
学生でも所得税はかかるの?
所得税は、「サラリーマンなどの社会人が払うもの」というイメージがあるかもしれませんが、学生も基本的に、税金上はサラリーマンと同じ扱いになると考えておきましょう。
派遣やアルバイトなどで働いて給料をもらっている場合、給与所得者として、所得税の対象になります。
ただし、所得税には、「所得税控除」という制度があります。
給与収入のみであれば、「給与所得控除55万+基礎控除48万=103万円」が、収入から控除されます。つまり、1月〜12月までの収入の合計が、「1年間で103万円」までであれば、所得税はかからないことになります。
所得税の注意点
注意しておきたいのは、所得税は「月単位で計算し、納付する」ということです。
つまり、年間とは別に月ごとの基準が存在します。月ごとの基準は、「1ヶ月で8万8000円」となっており、それを超えると、給料から所得税が引かれている可能性があります。
しかし、月ごとの基準は、あくまでも概算です。所得税は、年末で正しい額に調整をします。これが、「確定申告・年末調整」と呼ばれるもので、結果的に「1年間で103万円」を超えていない場合、申請をすれば、払いすぎた分の税金が返ってくる可能性があります。
「年間103万円は超えないけど、夏休みは1ヶ月8万8000円を超えたかも」という方は、注意しておきましょう。
1年間で複数の仕事をした場合は、すべての給料を合算して考えます。本来支払わなくてもいい税金を払ったままにしないためにも、給料明細はきちんと保管して、1年間の収入を把握しておきましょう。
勤労学生控除とは?
学生の皆さんに知っておいていただきたいのが、「勤労学生控除」です。
これは、学校に通いながら働いている人に対して、住民税や所得税を軽減する制度です。
前述の通り、所得税は通常「1年間で103万円」から発生しますが、これが勤労学生控除を使うと、「1年間で130万円」まで、所得税がかからなくなります。
勤労学生控除は、「年末調整・確定申告」で申告をしますが、控除を受けるには、いくつかの条件があります。
控除を受けられる条件
① 給与所得などの勤労による所得がある
② 合計所得金額が75万円以下(給与収入のみの場合は年収130万円以下)、
それ以外の所得が10万円以下
③ 高校生、大学生、専門学生など特定の学生
勤労学生控除の注意点
しかし、「勤労学生控除を受けて、130万円ギリギリまで稼ぐのが一番有利か?」と言えば、そうは言い切れない部分もあります。
中でも大きいのは、親の払う税金が増えてしまうことです。
学生さんの場合、多くが親の税法上の「扶養家族」になっています。しかし、「1年間で103万円」を超えると、扶養の対象からは外れてしまいます。
親の給与から扶養控除がなくなってしまうと、場合によっては、10万円近く税金が変わってしまうこともあります。よく考えずに稼ぎ過ぎてしまうと、何十倍の額を親に負担させる可能性があることを覚えておきましょう。
普段意識することは少ないかもしれませんが、「扶養」は税金以外にも様々な面に影響します。もし、「勤労学生控除」を検討するほど稼ぎが多くなりそうな場合は、必ず家族に相談しておきましょう。
損をしない稼ぎ方をしていこう!
税金は、生活している限りついて回るものです。学生の皆さんも、自分に関係のあることから、徐々に正しい知識をつけて、「損をしない稼ぎ方」をしていきましょう。
派遣で働く学生さんは、ご家族と事前に「年間○○○万円まで」と確認をしておいて、派遣会社に伝えた上で、仕事を紹介してもらうとベストかもしれませんね。