派遣で働く皆さんは、どのくらい時間の余裕をもって出勤していますか?
派遣社員の場合、勤務時間は契約で定められていますので、基本的にはその時間に間に合うように席(持ち場)についていれば問題ないように思われます。
しかし、派遣先によっては、暗に始業時間よりも早い出勤を求められることがあるかもしれません。
例えば、「始業時間の30分前に朝礼が始まる」というケースや、「仕事を始める準備に20分くらいかかる」といった場合です。
もし、派遣先から20~30分前の出勤を求められたら、派遣社員はその指示に従わなければならないのでしょうか?
また、始業前の時間については、勤務時間として時間外手当を請求してもいいものなのでしょうか?
始業時間よりも早い出勤とは?
派遣先が始業時間よりも早く席(持ち場)についていることを求める場合、様々な理由が考えられます。
派遣先側の意図としては、「始業時間に業務自体を始められる準備をすること」が目的の場合が多いようです。
始業前出勤の一例
・朝礼やミーティングがある
・PCや機械の起動
・ファイルや郵便物の整理
・必要な備品や器具の準備
・清掃
始業前の出勤には従うべき?
派遣先から、上記のような理由で「始業時間よりも20分前に席(持ち場)についていること」を求められた場合、派遣社員はその指示に従うべきなのでしょうか?
結論から言えば、始業時間はやはり「就業条件明示書等に記載された時間」が元になると考えられます。
そのため、就業条件明示書に記載された時間内に出社をしていれば、「法的には」問題ないと言えるでしょう。
しかし、実際問題として、始業前の出勤を求められた時、法的な根拠を持ち出して断るのは、難しいケースも多いかもしれません。
始業間の出勤に時給は発生する?
では、もし遣先の求めに従って、始業時間より前に毎日出勤した場合、その時間に時給(時間外手当)は発生するのでしょうか?
派遣社員はほとんどの場合時給で働いているので、例えば「時給1300円×20分×週5日」で計算すれば、月に1万円程度の時間外手当がつくことになります。
労働時間とみなされるか?
時給が発生するには、その時間が労働時間とみなされなければなりません。
つまり、始業前の時間に「労働の実態があるかどうか」や、その業務に「強制力(指示)があるかどうか」などが判断のポイントになると思われます。
例えば、全員強制参加の朝礼やミーティングがあったり、業務に必要な準備を具体的に指示された場合などは、その時間も労働時間に含まれる可能性が高いと言えるでしょう。
逆に、業務に従事していない場合や、「時間に余裕をもって出勤してほしい」といった程度の要求であれば、労働時間にみなされない可能性があります。
始業前の出勤を命じられたら?
法的には問題がなくても、ある程度時間の余裕をもって出勤するのは、社会人として「常識的なマナー」ではあります。
しかし、その「常識的なマナー」の範囲については、派遣先と労働者側で認識のズレが起こりがちです。
派遣先は「常識的なマナー」と考えていても、派遣社員は「労働時間に含まれないのは納得できない」「仕事の準備は5分でできるから20分も前に出社したくない」というケースもあるでしょう。
派遣先に始業時間よりも早い出勤を求められた場合は、時間外労働にあたるかどうか確認することはできますが、まずは派遣会社に相談してみるのがいいかもしれません。
派遣先が「常識的なマナー」の範囲と考えている以上、時間外手当の請求を「非常識」と思われてしまう可能性もあります。
派遣会社を通して、時間外手当の確認や交渉をしてみることをおすすめします。
まとめ
始業前の出勤を求められた場合についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
もしもの場合は、今回の記事も参考に、よく考えて冷静に行動しましょう。
派遣社員の場合は、職場見学や派遣会社の担当者からの情報で、事前に派遣先の様子を知ることができます。
出勤時間について気になることがあった場合は、事前に確認しておきましょう。