長く派遣で働いていると、派遣先から「直接雇用」の提案を受けることがあるかもしれません。
本来、派遣社員は、派遣会社と雇用契約をしているため、派遣先の企業との雇用関係はありません。しかし、長期で働いていたり、派遣先からの評価が高いと、「直接ウチで働かないか?」といった話を持ちかけられることがあります。
なぜ、派遣先企業は、このような直接雇用をしたがるのでしょうか?
また、いわゆる「引き抜き」とも呼ばれる直接雇用は、派遣社員本人にとっては、「仕事が評価された」「必要とされている」といった、好印象を持つ方が多いのではなかと思います。
しかし、実はその「直接雇用」は、自分にとっていい話なのかどうか、冷静に見極める必要があります。
派遣社員として働く方が、派遣先から引き抜きの話があった場合、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。
派遣先が引き抜きをする理由は?
派遣先が派遣社員に直接雇用を持ちかけるのには、様々な理由があります。
本来、企業が人材を雇い入れる際は、求人募集をかけて、書類審査や面接をして、人柄や能力を見極め、会社の戦力となる人材を探さなければなりません。
しかし、正確にそんな人材を見極めることは難しく、雇い入れても、仕事ができなかったり、すぐに辞めてしまったりするケースも珍しいありません。
また、現場で戦力と呼べるようになるには、ある程度の研修や慣れが必要で、時間もかかります。
その点、長く働いている派遣社員であれば、人柄や仕事ぶりを把握しているため、人材の見極めをする必要がありません。
しかも、すでに現場に慣れている人を雇うため、教育の手間を省くことができます。
直接雇用で確認しておきたいこと
派遣社員が直接雇用を持ちかけられたらとき、最初に確認しておきたいことがあります。
それは、「雇用形態」です。直接雇用と言っても、イコール正社員であるとは限りません。
直接雇用にも様々な形があり、派遣からの雇用であれば、「契約社員」を想定しているケースも十分考えられます。
直接雇用は「雇用が安定する」というメリットが思い浮かぶ方も多いかもしれませんが、契約社員であれば、派遣と同じ「有期雇用」です。
派遣社員と契約社員の違いは、以前の記事でもご紹介しましたが、それぞれの特徴をしっかりと把握した上で検討する必要があります。
直接雇用であっても、「派遣よりいい」と安易に決めつけず、雇用形態や条件面はしっかりと確認しましょう。
直接雇用を断る場合は?
様々な条件を比較して、派遣先からの直接雇用を断ることを決めた場合、いくつかの対策をしておくことをオススメします。
まず、どう断れば角が立ちにくいかは、シュミレーションしておいた方がいいでしょう。例えば、勤務条件が変わってしまう場合は、家庭の事情や自分のライフスタイルなどを理由にするといいかもしれません。
そして、一つの想定として、次の契約更新がない可用性も考えておきましょう。
もちろん、派遣先としても、直接雇用を考えるほどの人材ですから、契約を更新するケースも多くあります。
必ずしも「直接雇用を断ったら契約更新もない」というわけではありませんが、次の派遣先を探す準備はしておいて、万が一の事態に備えましょう。
まとめ
直接雇用を持ちかけられるということは、派遣先の「なくてはならない戦力」になっているということです。
それだけ期待されれば、無条件に期待に答えたくなってしまいますが、直接雇用には派遣先の事情があり、様々な事態が想定されます。
場合によっては、派遣会社にも相談しながら、直接雇用が自分に適しているかどうか、冷静に判断しましょう。